失う

失うのか?…捨て去るのか?

 

既存のモノが手から離れていくという結果は何れにしても同じだけど…『意志の有無』という点に於いて両者には全く違うその後が用意される。

 

意志によるコントロールを失うと、入り乱れる他者の思惑によって好きな様に翻弄される事になる。

 

恋愛を例にして見ると分かり易い。

 

自分の意志が反映されない別れ話は、唐突感とメンタルの準備不足が祟ってやけに狼狽してしまう。

「自分の知らない内に…」という冷酷な『相手の準備の仕方』という付帯状況がメンタルに追い討ちをかけてショックは倍加する。

 

先んじて裏切る側はショックなぞ微塵も感じない。

むしろ自分が先を行く事の優越感まで醸し出して余裕をブッコイテいるものである。

 

恋愛に於いては「演られちゃったな!」位で済むけれど、ビジネスとなればそうは行かない。

やられっぱなしでは下手すりゃ全部が行き詰まってしまう事にもなる。

逆にコッチも相手先の変更はギリギリ迄伝える事はないのだからソコは恨みっこ無し!なんだけど。

 

必要以上に先んじて手を下す人は、用意周到にコッチの心理を読み…これは必死で守りに来るだろう?なんて予測している。

相手はソコまで事を用意してるのだから、此方として唯一出来ることは相手の予想を上回る規模や質を平静な顔して捨て去って見せるしかない。

痛みを堪えて苦痛など微塵もないといった『想定の範囲内!』を演技し事を終えるのだ。
そうすると…得てして先行裏切り型の人間は急にソワソワして落ち着きを失い、挙動不審に陥ったりするから面白い。

 

勝負は先手後手様々にあるだろう。

何れにせよ日頃の覚悟が勝負ではモノを言う。

単純にどちらがより大きなモノを躊躇なく捨て去る事が出来るか?なのだ。

 

単なるヤケッパチ、当て擦りじゃなく、棄てる覚悟と共に「必ずその後は自分の状況をより良くする!」という掟を自分に言い聞かせておく事も必要。

相手よりも幸せになる!それしかそんな相手に復讐する方法はないのだから。

 

どちらに取っても関係が無くなるという結果は同じだけど、どちらが先に意思を持って切り捨てを実行したか?は人のプライドとしては看過できない問題となるから不思議である。

 

ま、幾つになっても大人は恥ずかし気もなく子供染みているって事だろう。

詰まらない意地を張って何時も恋愛関係を引っ掻き回してるのはおバカなおブスと相場が決まってるから…その『どっちが先か?問題』はきっと詰まらないレベルの精神作用に相違ないって事だろうなぁ…。

 

今取引先に、姑息に意地汚い話をさも重大振って小出しにしてくる人間がいる。

そんな人間の定番、恐ろしく上から目線でモノを言ってくる。

やはり今回も有効だったのは『捨て去る覚悟』だった。

 

貴方の思い通りに「どうぞ!お演りになれば良いでしょう!」

これ以上こんな輩に自分のプライドを晒してはならない!コイツと関わるメンタル被害に比べれば現実の辛苦なんぞ楽なもんだ!…理屈抜きにそう感じたのだった。

 

『魂を売ってまで演らなきゃならない事』なんぞあるものか!

「お好きにお演りになれば良い!」そう言うと、歪な興奮を見せていた相手の顔にサァーっと濃い落胆の色が浮かんだ。

 

一旦切り付けたならば…最後まで鬼を演り遂げれば良いのに。覚悟が足らんぜ!

コイツ…とても醜くい顔をしてるな。そう思った。