生パスタ

何も新しい訳じゃない…生麺のパスタである。

 

ある麺メーカーの営業が やって来て厨房を貸して欲しい。

私が作るから食べてみて欲しい!…と。

食ったら美味しかった。

 

オーソドックスな所で、ペペロンチーノとボロネーゼの二種類を試験的にメニューに加えた。

老若男女が旨いという。

こんなに麺自体の香りがするとは…シンプルな驚きだった。

 

日本のラーメンが中国を完全に越えてしまった様に、このパスタ、イタリアを既に越えているんじゃね?…と感じた。

 

元はうどんの麺を専門としてやって来て創業110年らしい。

例に漏れずコ・ス・パの波に一時追い込まれ…反転攻勢の切り札がこの生麺のパスタだったとか。

 

乳化が始まる寸前の時間を設定し、ソースと混ぜ合わせる何回まで指定。

麺の種類によって細かく設定している。

調理のプロ側の我々はそれを鵜呑みにする訳は無いけど…その情熱と探求心はうどん麺110年の伝統の力だと思った。

 

一心不乱に麺一つに傾注してきたそのアプローチの力は、紛れもなく本物だと思った。

基礎的な技術の積み重ねは絶対裏切らないのである。

 

創作と称して小手先で捏ねる様な些末な手法に逃げる事なく、淡々と積み重ねた基礎的な技術…その愚直さはお見事です。

 

一度電話して通じなかったら繋がるまでかけ続けるその営業姿勢も麺と同様、『基本の力』というものの凄みを感じたのだった。

 

分野もアイテムも話題として新しい訳じゃない。

然り気無くありふれた動機の要素のうどん麺、パスタ麺。

そこに凄まじい密度で試行錯誤のエネルギーを投下すると…恐ろしく『新鮮な輝き』を持った『新製品』が生まれるのだ。

 

うどん麺からパスタ麺を!という編集を完成させたそのメーカーは『素晴らしいイノベーション』を成し遂げたんだと思う。