スタンドバイミーが聞こえない

夜が訪れて 台地が暗くなるとき

月明かりしか見えなくなる

恐れはしない 恐れはしないさ

ただ君がそばにいてくれれば

 

だから愛する人よ 僕のそばに そばにいてくれ・・・

もし僕らの上に広がる空が崩れ落ちてきたら

それか山が海に崩れてくるとしても 

僕は泣かない 泣かないよ 涙は長さない・・・

 

君に何かあったらいつでも 僕のそばにきてよ・・・

僕のそばにいてくれ 僕のそばに・・・

 

*『スタンドバイミー』の一節

 

少年のドキドキの冒険・・・その時、その一瞬にだけ成立したキラキラの物語。

時は過ぎ去り、少年たちはバラバラになり個として大人を演じ始める。

夢だ冒険だの・・・一切割り込む余地が無いタイトな環境が、僕達をがんじがらめにしてしまったかの様な息苦しさ。

僕たちは善良な小市民を擬装しながら問題なく時間を過ごすことだけが目的かの様に一日を終え、逃げるようにベッドに潜り込む。

眠りだけが救い。その浅い夢の中に森の中を走るレールを探すけど・・・。

微睡みの中、いくら待ってもスタンドバイミーは聞こえてこない。

目覚めればテレビ画面が間断なく悪相の人間を映し出し、能面のようなコメンテーター達が昨日と同じ発言を繰り返している。

悔しいから、オーダースーツのパッケージにライト兄弟のセピア色のフォトを配し、その上に『冒険は続いている』とキャッチコピーを貼り付けたけど・・・。

実のところ、時折僕の頭の中にセピア色の夢の断片が瞬間的に復刻されるだけ。

求めども、未だスタンドバイミーは聞こえてこない。